役所主催の異業種交流会で意気投合した工業デザイナーの大高氏とバネ職人の楓岡氏。バネという素材にデザイン的可能性を見出した大高氏が中心となり試行錯誤を重ねて生み出した商品です。
“町工場からデザインプロダクトへ!”今でこそよく聞かれる取り組みですが、このペーパーホルダーはまさにその先駆けとして成功を納めた商品で2000年から発売を開始しロングセラーとなっています。
発売当初は販売店探しもこの二人で行っていましたが、思うようにいかず、都内の数店舗で販売していました。
ある時、青山の小さなデザインショップで販売されていたペーパーホルダーが偶然ニューヨーク近代美術館「MoMA」のエージェントの目に留まることとなりました。秀逸なデザインに魅せられたMoMAのバイヤーはすぐにを販売を決め、またたく間に人気商品となりました。MoMA担当者曰く、ペーパーホルダーの扇型が「和」を連想することと、成型技術や美しいメッキの技術は他では真似のできない高いレベルにあると絶賛されました。数年にわたる販売実績が評価されMoMAのロゴを入れMoMAグッズとして発売されることとなり、さらには世界への卸販売も開始されました。アメリカだけでなくヨーロッパでも販売されました。
*現在はMoMAとのダブルネームは終了しています
銀座吉田は2003年に楓岡氏と出会いペーパーホルダーを国内の取引先に紹介してきました。デザイン性の高さや、MoMAでの販売実績もあったため、日本でも多くのデザインショップやミュージアムショップ、インテリアショップなどで販売されるようになりました。
2006年にはグッドデザイン賞を受賞。
2009年にはミラノで開催された見本市「ミラノトリエンナーレ」への出品。
2010年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。
楓岡氏はクリエイターとして独自にオリジナルデザインの商品を発表しています。本業から派生したデザイングッズをヒットさせ、職人の新しい道を切り開いたことで「墨田の職人」を世に知らしめた功績が評価され「すみだマイスター」*の称号を授与されました。さらに「東京マイスター(東京都優秀技能者)知事賞」も受賞しています。
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